「採用の男女比はそろいました。これで十分ですよね」

そう言い切られると、少し怖いものがあります。人数がそろっても、会議で発言できる人が偏っていたら、それはまだ途中だからです。

DEIとは、多様な人が集まるだけでなく、公平な支援と参加しやすさまで整える考え方です。Diversity Equity Inclusion の頭文字を取った言葉で、人材や組織づくりの話でよく使われます。

横文字が多いですが、言いたいこと自体は案外シンプルです。

DEIとは? 一言でいうと「みんなが見える高さまで足場を整えること」

一言でいうと、DEIはいろいろな人が力を出せるように、足場まで整える考え方です。

柵の向こうの試合を見る場面を想像してください。

  • Diversity: いろいろな人が観客として集まっている状態
  • Equity: 背が低い人には高めの台を用意すること
  • Inclusion: 全員がちゃんと試合を楽しめている状態

全員に同じ台を配るだけでは、見えやすい人と見えにくい人が残ります。そこで、人によって必要な支援を変えながら、全員が参加しやすくするという発想が大事になります。

これがDEIの中心です。

ビジネスの現場でDEIという言葉が出る場面

1. 「採用だけでなく、DEIの観点で制度も見直しましょう」

意味: 人数を増やすだけでなく、働きやすさや評価制度も含めて整えよう、ということです。

相手が伝えたいこと: 入口だけ変えても、職場の中身が変わらなければ定着しにくい、ということです。

2. 「DEIの視点で会議運営を改善します」

意味: 一部の人だけが話す会議ではなく、誰もが参加しやすい運営に変えていく、ということです。

相手が伝えたいこと: 組織文化の問題として見ている、ということです。

3. 「取引先からDEIの取り組みを聞かれました」

意味: 採用や働き方、多様な人材への配慮が、会社の評価項目として見られている、ということです。

相手が伝えたいこと: 社内だけの話ではなく、事業や信頼にも関わるテーマだ、ということです。

DEIとダイバーシティの違い

ダイバーシティだけでは足りない、と言われる理由はここにあります。

比較ポイントDEIダイバーシティ
主な意味多様性に加え、公平性と包摂性まで含む多様な人がいること
注目点集めた後に活躍できるか集められているか
例え話台の高さも調整して、全員が試合を見られる状態いろいろな人が会場に集まっている状態
現場での見分け方制度、評価、会議運営まで話が及ぶ採用比率や構成比が話題になりやすい
足りないとどうなる?参加しづらさが残る人は増えても活躍しにくい

まず多様性を増やすことは大事ですが、そこで終わらず、どう活躍しやすくするかまで見るのがDEIです。

よくある質問

Equityはえこひいきと同じですか?

同じではありません。スタート地点の違いをならすための支援であり、特別扱いそのものが目的ではありません。

Inclusionは仲良くすることですか?

仲良しであることだけではありません。意見を言いやすい、意思決定に参加しやすいなど、実際に関われる状態が含まれます。

DEIは人事だけのテーマですか?

人事と関係が深いですが、それだけではありません。商品設計、営業、会議運営、マネジメントなど、組織の広い範囲に関わります。

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まとめ

  • DEIは、多様性だけでなく、公平な支援と参加しやすさまで含む考え方です。
  • 人数をそろえるだけではなく、活躍しやすい環境づくりまでが大切です。
  • ダイバーシティとの違いは、集めた後の設計まで見るところにあります。

明日からできる第一歩は、会議や打ち合わせで「いつも話している人」と「ほとんど話していない人」を見てみることです。その差に気づくところから、DEIは始まります。