「今回の開発には、MRデバイスのHoloLens(ホロレンズ)を活用しましょう」
社内の先行技術検討会で出たこの提案。私は「エム・アール……? ミスター……? 誰かの名前かな?」と、頭の上にハテナを浮かべていました。
とりあえず 「そうですね、ミスターの活躍に期待しましょう!」 と知ったかぶりをして微笑んでみましたが、周囲のエンジニアたちが「……?」と困惑した顔でこちらを見ているのに気づき、心臓がバクバクに……。
実は「MR」は、ARとVRの良いとこ取りをした、さらに進化した技術です。今回は、現実とデジタルが完全に溶け合う 「魔法の融合」 に例えて、その正体をやさしく解説します。
MRとは? 一言でいうと「現実とデジタルが溶け合う『魔法の融合』」
結論から言うと、MRとは「Mixed Reality(ミックスド・リアリティ:複合現実)」の略で、「現実の世界とデジタルの情報を密接に組み合わせ、デジタルの物体があたかもそこに実在するかのように操作できる技術」 のことです。
ARとの違いを 「お絵描き」 で例えてみましょう。
- AR(拡張現実):透明な下敷きへの「お絵描き」。絵は現実の机の上に「浮いている」だけ。
- MR(複合現実):「魔法の絵の具」で描く。 デジタルのボールを投げると、現実の壁に当たって跳ね返ったり、現実の机の陰に隠れたりする。
MRの世界では、デジタルの物体が「現実の形」を認識しています。そのため、空中に浮いたデジタルのボタンを自分の指で「押す」ことができたり、デジタルなキャラクターが現実の椅子に「座る」ことができたりします。
まるで魔法使いになったかのように、デジタルの物体を現実と同じ感覚で触れるようになるのがMRの凄さです。
ビジネスの現場でMRという言葉が出る場面
医療、設計、遠隔支援などの高度な現場で使われています。
1. 「MRを使って、手術前に患者さんの臓器を3Dで確認しよう」
意味:
「CTスキャンのデータを、MRメガネ越しに空中に浮かび上がらせて、本物の臓器がそこにあるかのように多方向から観察し、シミュレーションしよう」ということです。
2. 「遠隔地の熟練工が、MR越しに現場の若手に指示を出すんだ」
意味:
「現場の若手が見ている風景を熟練工も共有し、MRを使って若手の目の前に『このネジを回して』とデジタルな注釈をリアルタイムで書き込んで、一緒に作業をしよう」ということです。
3. 「建築予定のビルをMRで表示して、周囲の景観との馴染みを確認しよう」
意味:
「更地に立った状態で、MRメガネを覗けば、実物大のデジタルなビルが地面から生えているように見えるから、周囲の建物との距離感をリアルに体験できるよ」ということです。
VR・AR・MRの違い(まとめ)
この3つは「どれくらい現実が混ざるか」のグラデーションになっています。
| 用語 | 特徴 | たとえ話 |
|---|---|---|
| VR | 現実は全く見えない | 別世界へワープ |
| AR | 現実の上にデジタルが浮く | 現実への「お絵描き」 |
| MR | デジタルが現実に干渉する | 現実とデジタルの「融合」 |
MRは、ARよりもさらに「本物感」と「操作性」がアップしたものだと考えれば間違いありません。
まとめ
この記事のポイントは次のとおりです。
- MRは、現実とデジタルを高度に融合させる技術
- デジタルの物体が現実の壁や床を認識し、触ったり動かしたりできる
- 「HoloLens 2」や「Apple Vision Pro」などが代表的なデバイス
今すぐできる確認方法
MRの世界を身近に感じるために、以下の最新ガジェットの情報を調べてみましょう。
- 「Apple Vision Pro(ビジョンプロ)」 の紹介動画を見てみる(デジタルなウィンドウが部屋の空間に固定されている様子が分かります)
- 「HoloLens 2(ホロレンズ)」 を使った、工場の組み立て作業の様子を検索してみる
- 「空間コンピューティング」 という言葉が出てきたら、「あ、MRのことだな」と思い出す
「あ、これってもう画面の中だけの話じゃないんだな」と気づくだけで、あなたのITリテラシーは一歩先へ進みますよ。