「東京のエンジニアが足りないから、一部の機能を『ニアショア(Nearshore)』のチームに任せることにしたよ」
上司からそう告げられたとき、私は心の中で「ニア……? 近い? ショア……? 海岸? お台場あたりの海岸で仕事をするのかな?」と、的外れな想像をしていました。
「あの、ニアショアっていうのは、海の近くのオフィスに行くということですか?」
ポカンとする私に、システム部の先輩は日本地図を指差して教えてくれました。
「ニアショアはね、『国内の地方』っていう意味だよ。海外(オフショア)ほど遠くはないけれど、都心よりはコストが安い地方の会社に仕事をお願いする手法のことなんだ」
これ、実は日本の人手不足を解消し、地方を元気にするために 「もっとも安心感があり、もっとも注目されている分業の形」 です。
この記事では、田舎の分工場に例えて、ニアショアの正体と言い換え方をやさしく解説します。
ニアショアとは? 一言でいうと「国内の地方拠点にお願いする『近場発注』」
結論から言うと、ニアショア(Nearshore)とは、「ビジネスプロセスやシステム開発の一部を、都心よりも人件費や家賃が安い国内の地方(北海道、東北、九州など)にある企業や自社拠点に委託すること」 です。
これを 「工場の運営」 に例えると、非常にわかりやすくなります。
- 都心開発(本社):家賃も高いし、人も集まりにくい。
- ニアショア開発:「田舎の広い分工場(国内地方)」。東京よりはコストが安く、それでいて 「言葉も通じるし、時差もない」。何かあれば、新幹線や飛行機ですぐに会いに行けます。
「海外はちょっと不安(言葉が通じない)」けれど、「東京で作るには予算が足りない」。そんな時の 「ちょうどいい解決策」 がニアショアです。
ビジネスの現場でニアショアという言葉が出る場面
「開発の分担」や「地方活用」のシーンで必ず登場します。
1. 「ニアショア拠点を沖縄に新設し、24時間の保守体制を整えます」
意味:
東京だけに人を置くと大変だから、土地も安くて魅力的な沖縄にオフィスを作って、そこで交代で仕事ができるようにしようよ、ということです。
2. 「オフショア(海外)での失敗を反省し、今回はニアショアを選びました」
意味:
「海外にお願いしたら言葉が通じなくて大失敗しちゃった。今回は、やっぱり同じ日本人の地方のチームに、安心してお任せしようよ」ということです。
3. 「ニアショア先とのビデオ会議を定例化してください」
意味:
「同じ国内」だと言っても、物理的には離れているから、お互いの顔を見ながらこまめに相談して、仲間外れにならないように気をつけてね、ということです。
絶対に覚えておくべき!「オフショア」との違い
もっとも対比される「オフショア」との違いを整理しました。
| 比較ポイント | ニアショア | オフショア(Offshore) |
|---|---|---|
| 場所 | 「国内の地方」 | 「海外」 |
| 言葉・文化 | 同じ(日本語) | 違う(英語など) |
| コスト削減 | ほどほど | 大きい |
| 時差 | なし | あり |
| 例え話 | 田舎の分工場 | 海の向こうの巨大工場 |
まとめ:明日からできる第一歩!
この記事のポイントは次のとおりです。
- ニアショアは、国内の地方に仕事を委託すること
- 「田舎の頼れる分工場」をイメージすればOK
- 言葉の壁がないので、スムーズに仕事が進められるのが最大の利点
「ニアショア」な環境で上手く働くために、こんな一歩から。
- 「地方の会社」を調べてみる:あなたの住んでいる県や故郷に、ITの会社はありませんか? そこで東京の仕事を受けているなら、それがまさにニアショアの最前線です。
- 「ビデオ会議」に慣れる:ニアショアの仲間とは、画面越しに話すのが基本です。相手が隣にいるかのように、丁寧に、笑顔で話しかける練習をしておきましょう。
- 「言い換え」を使ってみる:「ニアショア」が難しければ、「国内の地方委託」「遠隔の国内拠点」「地方チームとの分業」と言い換えてみてください。それだけで、仕事の繋がりがぐっと温かく感じられますよ!