「従来の満足度調査はやめて、これからは『NPS(エヌピーエス)』を指標にしよう」

上司からそう告げられたとき、私は心の中で「エヌ……ピー……エス……? どっかの特殊部隊の名前かな? 厳しく取り締まるの?」と、的外れな想像をしていました。

「あの、NPSっていうのは、抜き打ち検査のことですか?」

ポカンとする私に、カスタマーサクセスの先輩はハートのマークを描きながら教えてくれました。

「NPSはね、『このサービスを友達に勧めたいですか?』という、もっとも本音に近い満足度のことだよ。ただ『満足』なだけじゃなく、ファンになってくれているかを測るんだ」

これ、実はAppleやAmazonといった世界的な企業がもっとも重視している、「売上を予測する最強の健康診断」 です。

この記事では、友達への紹介に例えて、NPSの正体と言い換え方をやさしく解説します。

NPSとは? 一言でいうと「友達に勧めたい度(おすすめ度)」

結論から言うと、NPS(Net Promoter Score)とは、「顧客ロイヤルティ(企業やブランドに対する信頼・愛着)」を数値化する指標 のことです。

これを 「おすすめのレストラン」 に例えると、非常にわかりやすくなります。

  • 従来の満足度調査「味はどうでしたか?」 と聞く。「まぁ普通に美味しい(満足)」と答えるけれど、二度と行かないかもしれません。
  • NPS調査「大切な親友に、この店を勧めたいですか?」 と聞く。
    • 「絶対勧める!」(9〜10点):本当にファンな人(推奨者)。
    • 「別に勧めない」(0〜6点):不満はないけど、好きでもない人(批判者)。

「自分が使う分にはいいけれど、人に勧めて恥をかきたくない」という心理を利用して、「本当の信頼」 を浮き彫りにするのがNPSの正体です。

ビジネスの現場でNPSという言葉が出る場面

「お客さんの声」を分析するシーンで必ず登場します。

1. 「NPSがマイナスなのは、隠れた不満がある証拠です」

意味:
NPSは「勧める人(%)」から「勧めない人(%)」を引いて計算します。マイナスということは、ファンよりも「他人に悪口を言う人」の方が多い危ない状態だよ、ということです。

2. 「NPS向上プロジェクトを通じて、LTVを最大化しましょう」

意味:
「なんとなく使っている人」を「誰かに教えたくなるほど大好きなファン」に変えることで、ずっと長く使い続けてもらえるようにしようよ、ということです。

3. 「今回のNPSの自由回答に、改善のヒントが詰まっていました」

意味:
点数だけでなく、「なぜその点数をつけたのか?」というお客さんの生の声こそが、サービスを良くするための宝の山だよ、ということです。

絶対に覚えておくべき!3つのグループ分け

回答したスコアによって、お客さんを3つに分類します。

スコアグループ名状態
9〜10点推奨者大ファン。勝手に宣伝してくれる人
7〜8点中立者普通。もっと安いのがあれば他へ行く人
0〜6点批判者不満あり。周りにネガティブな噂を流す人

計算式:推奨者の割合(%) − 批判者の割合(%) = NPSスコア

まとめ:明日からできる第一歩!

この記事のポイントは次のとおりです。

  • NPSは、お客さんの「本気の愛着」を測る指標のこと
  • 「友達に勧めたいかどうか」という質問が基本
  • 満足度よりも、将来の売上(口コミ)を予測しやすい

「NPS」な視点を持つために、こんな一歩から。

  1. 「自分の推し」を思い浮かべる:あなたが人に「絶対使ってみて!」と勧めているものは何ですか? なぜそれを勧めたいのか? その理由こそが、NPSを上げるヒントです。
  2. 「人に勧める重み」を考える:誰かに何かを教えるとき、私たちは「自分の信頼」を賭けています。自分の仕事が、お客さんの「信頼」に値するものか、1秒だけ考えてみてください。
  3. 「言い換え」を使ってみる:「NPS」が難しければ、「おすすめ度スコア」「ファンの割合」「口コミ予備軍の調査」と言い換えてみてください。それだけで、お客さんへの向き合い方がぐっと温かくなりますよ!