「えっ、また新しくアカウントを作らなきゃいけないの?」

仕事で新しいWebサービスを使おうとするたびに、メールアドレスを入力し、パスワードを考え、確認メールを待つ……。この繰り返しに、私は正直うんざりしていました。

「パスワード、もうこれ以上覚えられません!」

そんな私のぼやきを聞いた先輩が、こう教えてくれました。

「それなら『OpenID(オープンアイディー)』を使えばいいよ。GoogleやMicrosoftのアカウントを『社員証』みたいに使って、他のサービスにも入れるようになるから」

「オープン……アイディー? IDを公開しちゃうんですか?」と勘違いした私ですが、実はこれ、私たちのプライバシーを守りつつ、手間を劇的に減らしてくれる画期的な仕組みでした。

この記事では、会社の社員証に例えて、OpenIDの正体をやさしく解説します。

OpenIDとは? 一言でいうと「ネット上の『共通の身分証明書』」

結論から言うと、OpenID(オープンアイディー)とは、「1つのアカウント情報(IDとパスワード)を使って、複数の異なるWebサイトにログインできるようにするための仕組み」 です。

これを 「会社のビルへの入館」 に例えると、非常にわかりやすくなります。

  • あなた:ユーザー
  • GoogleやMicrosoft:身分証を発行してくれる「大元の会社」
  • 新しいWebサービス:そのビルに入っている「別々の店舗」
  • OpenID:ビル全体で使える 「共通の社員証(身分証)」

もしOpenIDがなかったら、あなたはビル内のA店に入るためにA店の会員証を作り、B店に入るためにB店の会員証を……と、財布がカードでパンパンになってしまいます。

OpenIDがあれば、入り口で 「信頼できる会社が発行した社員証(OpenID)」 を一度見せるだけで、「あぁ、この人は本人ですね」と認められ、どのお店にもスムーズに入れるようになるのです。

ビジネスの現場でOpenIDという言葉が出る場面

「ID連携」や「シングルサインオン(SSO)」の話の中でよく登場します。

1. 「このサイト、OpenID Connect(OIDC)で連携できますか?」

意味:
現在主流のOpenIDの仕組み(OpenID Connect)を使って、GoogleやMicrosoftのアカウントでログインできるように設定できますか? ということです。

2. 「IDプロバイダ(IdP)側でユーザーを管理してください」

意味:
IDプロバイダとは、Googleなどの「身分証を発行する側」のことです。個別のサービスでパスワードを管理せず、大元のIdPで一括管理して、OpenIDで本人確認をしましょうということです。

3. 「ログイン時にプロフィール情報(名前やメールアドレス)を引き継ぎます」

意味:
OpenIDでログインすると、身分証に書かれた「名前」や「部署」などの情報を、新しいサービス側にも自動でコピーしてくれます。わざわざ自分で入力する手間が省けます。

OpenIDと「OAuth」の違い

よくセットで語られる「OAuth(オーオース)」との違いを整理しました。

比較ポイントOpenIDOAuth(オーオース)
主な目的「認証」(あなたは誰?の確認)「認可」(〜していいよの許可)
役割身分証明書を見せる特定の部屋の鍵を渡す
やり取りする内容「この人は本人です」という証明「このデータにアクセスしていい」という権限

※現在は、両方の機能を兼ね備えた「OpenID Connect」が一般的に使われています。

まとめ:明日からできる第一歩!

この記事のポイントは次のとおりです。

  • OpenIDは、1つのIDでいろんなサイトにログインできる仕組み
  • 「ネット上の共通の社員証」をイメージすればOK
  • パスワードをあちこちで作る必要がなくなり、安全かつ便利になる

まずは、自分の「身分証」を整理してみましょう。

  1. 「ID連携」を使ってみる:新しくニュースサイトなどを読むとき、「Googleでログイン」などのボタンがあれば積極的に使ってみましょう。パスワードを新しく作らなくて済む快適さがわかります。
  2. メインのIDを強力に守る:OpenIDの「大元(Googleなど)」のパスワードが盗まれると、連携しているすべてのサイトに影響します。大元のパスワードは長く、複雑なものにし、二段階認証も必ず設定しておきましょう。
  3. 連携先を時々チェックする:Googleなどの設定画面から「どこのサイトにOpenIDを見せたか」を確認できます。もう使っていないサイトがあれば、連携をオフにして「社員証」を使わせないように整理すると、より安心ですよ!