「わが社はROE(アールオーイー)は高いけれど、『ROA(アールオーエー)』が低いのが課題だね」

会議でそんな分析を耳にしたとき、私は心の中で「アール……オー……エー? ROEと一文字違い? 何かのアニメの略称かな?」と、混乱していました。

「あの、ROAっていうのは、ROEの親戚みたいなものですか?」

ポカンとする私に、経営企画の先輩は農具を並べる仕草をしながら教えてくれました。

「ROAはね、『会社が持っている全ての道具を使って、どれだけ稼げたか』という効率のことだよ。自分のお金だけじゃなく、銀行から借りたお金も含めた総合的な実力を見る指標なんだ」

これ、実は会社が無理をしていないか、本当に道具を使いこなせているかを知るために 「もっとも誠実で、もっとも全体像がわかる数字」 です。

この記事では、全部の道具を使った収穫に例えて、ROAの正体とROEとの違いをやさしく解説します。

ROAとは? 一言でいうと「会社の全財産で稼ぐ『総合的な効率』」

結論から言うと、ROA(Return On Assets)とは、「総資産(自分のお金 + 借りたお金)を使って、どれだけの利益を上げたかを示す指標」 です。日本語では「総資産利益率」と呼ばれます。

これを 「農業(全部の道具を使った収穫)」 に例えると、非常にわかりやすくなります。

  • 総資産(Assets):自分が持っていた種もみ(自己資本)だけでなく、「銀行から借りて買った最新のトラクター」や「借りた畑」 も全部含めた、今持っている「全ての道具」のこと。
  • 利益:その全ての道具を使って収穫できたお米。
  • ROA:その 「全部の道具」をどれだけ上手に使いこなして、たくさんのお米を獲れたかという効率。

いくらお米がたくさん獲れても、巨大なトラクターを10台も借りて(総資産を膨らませて)いたとしたら、効率(ROA)は低いことになります。「道具(資産)を無駄に持っていないか?」 をチェックするのがROAの役割です。

ビジネスの現場でROAという言葉が出る場面

「経営の健全性」や「効率」を評価するシーンで登場します。

1. 「ROAを改善するために、使っていない古い機械を売却しましょう」

意味:
「稼いでいない道具(資産)」を持ち続けていると、分母が大きくなって効率(ROA)が悪く見えるから、いらないものは手放して、スリムな経営を目指そうよ、ということです。

2. 「ROEは高いのにROAが低いのは、借金が多い証拠です」

意味:
「自分のお金」での稼ぎはいいけれど、実は「銀行からの借金」を山ほどして道具を揃えているから、会社全体の効率としてはあんまり良くないんだよ、という鋭い分析です。

3. 「ROA 5%以上を目標に、資産の回転率を上げてください」

意味:
持っている工場や在庫を眠らせておかず、どんどん動かして、少ない資産で大きなお金を生み出せるように工夫してね、ということです。

絶対に覚えておくべき!「ROE」との違い

もっとも対比される「ROE」との違いを整理しました。

比較ポイントROA(総資産利益率)ROE(自己資本利益率)
対象となるお金「全部」(自分 + 借りた金)「自分のお金」 のみ
見ている人社長、銀行、債権者株主(投資家)
わかること会社の 「総合的な使いこなし」投資に対する 「リターン」
例え話「全部の道具」 の収穫率「自分の種」 の収穫率

まとめ:明日からできる第一歩!

この記事のポイントは次のとおりです。

  • ROAは、全ての資産をどれだけ効率よく使えたかの指標
  • 「全部の道具を使った収穫率」をイメージすればOK
  • ROE(自分のお金)だけでなくROA(全体の効率)も見ることが大事

「ROA」という感覚を身につけるために、こんな一歩から。

  1. 「身の回りの道具」を見直す:デスクにある備品やパソコン。それを「使いこなして」価値を生んでいますか? 無駄に高いスペックのものを持っていないか考えることがROA意識の始まりです。
  2. 「在庫」を意識してみる:お店や倉庫にある売れ残りの商品。それは「眠っている資産」です。それを早く売ることが、ROAを高めることに繋がります。
  3. 「言い換え」を使ってみる:「ROA」が難しければ、「全財産の稼ぐ効率」「道具の使いこなし度」「会社全体の総合成績」と言い換えてみてください。それだけで、経営のニュースがぐっと面白くなりますよ!