「わが社では、グループ全体の効率化のためにシェアードサービスを導入しています」
OB訪問や面接で、憧れの企業の方からこう言われたとき。私は心の中で「……シェア? つまり、社員みんなで一つのデスクを共有する『フリーアドレス』のことかな?」と勝手に納得していました。
自信満々に「なるほど! みんなで場所をシェアして、コミュニケーションを活発にされているんですね!」と答えると、社員さんは少し困ったような顔をして、「いや、場所のことじゃなくて、仕組みのことなんだけどね……」と苦笑い。
「シェア」という言葉の響きだけで「シェアオフィス」や「カーシェア」のようなイメージを持ってしまうと、ビジネスの文脈では全く違う意味になってしまいます。今回は、身近な「部活動の事務局」に例えて、その仕組みをスッキリ理解しましょう!
シェアードサービスとは?一言でいうと「バラバラだった裏方仕事を一箇所にまとめて、みんなで使い回すこと」
シェアードサービス(Shared Services)とは、「グループ会社や複数の部署でバラバラに行っていた人事、経理、総務などのバックオフィス(事務的な裏方仕事)業務を一箇所に集約して、みんなで共同利用すること」です。
これを「部活動」で例えてみましょう。
ある大学に、サッカー部、テニス部、ダンス部があるとします。
- 以前の状態:それぞれの部活が、自分たちで「部費の計算」や「合宿の手配」をしていました。でも、部員は競技に集中したいのに、事務作業が忙しくて大変です。
- シェアードサービスの導入:3つの部活が合同で「事務局」を作りました。経理が得意なスタッフをそこに集め、3つの部活すべての「部費計算」や「手配」をまとめて任せることにしました。
こうすることで、各部活は「自分たちの活動(サッカーやダンス)」に専念できますし、事務局も「3つの部活分をまとめてやるなら、もっと効率よくできるはずだ」とプロの技を磨けます。
つまり、シェアードサービスは「身内の中で、共通のサポートセンターを作って効率化する」という考え方なのです。
ビジネスシーンでの超リアルな使い方・例文
就活の面接や、入社後の会議でこんな風に登場します。
1. 「バックオフィス業務はシェアードサービス会社に集約しています」
- 意味: 「グループ各社でバラバラにやっていた経理や給与計算は、グループ内の『事務専門の別会社』に全部任せています」ということです。
- 本当の意図: 「それぞれの会社が本来のメインビジネス(商品開発や営業など)に集中できる環境を作っているんだな」と考えればOKです。
2. 「シェアードサービス化によって、グループ全体のコスト削減と品質の標準化を図る」
- 意味: 「みんなで同じ仕組みを使うことで、無駄な出費を減らし、どの会社でも同じ高いレベルで事務ができるようにします」ということです。
- 本当の意図: 「バラバラにやるより、プロにまとめて任せたほうが安くて確実だよね」という経営判断が行われていることを示しています。
3. 「今は各拠点でやっているけど、将来はシェアード化を検討すべきだ」
- 意味: 「今は支店ごとに自分たちで事務をしているけれど、将来は一箇所にまとめて効率を上げるべきだね」ということです。
- 本当の意図: 「今のやり方は非効率で、もっとスマートに変える必要がある」という問題提起をしています。
絶対に覚えておくべき!「BPO」「アウトソーシング」との違い
一番のポイントは、「誰がその仕事をするのか(身内か、外の人か)」です。
| 項目 | シェアードサービス | アウトソーシング | BPO (Business Process Outsourcing) |
|---|---|---|---|
| 役割 | グループ内でまとめてやる | 外部に一部を任せる | 外部に「やり方」から丸投げする |
| 例え話 | 部活動合同の事務局を作る | お弁当を注文する | 食事管理をプロに全部任せる |
| スタッフ | グループ内の人(身内) | 外部の人 | 外部の専門業者 |
| 目的 | 組織全体の効率と統一 | 手間の削減 | プロによる品質向上と変革 |
| 現場での見分け方 | グループ会社名がついている | 外部の特定の会社に頼んでいる | 業務のルール作りから任せている |
「シェアードサービス」はあくまでグループ内(身内)でまとめますが、「アウトソーシング」や「BPO」は外部の会社に頼むという点が大きな違いです。
まとめ:明日からできる第一歩!
この記事のポイントは次のとおりです。
- シェアードサービスは、グループ内の「共通事務」を一箇所に集めること
- 目的は、みんなが「本来やるべき大事な仕事」に集中するため
- 「身内の中でまとめる」のがシェアードサービス、「外に頼む」のがアウトソーシング
就活生ができるミニアクション
志望企業の「会社概要」や「グループ紹介」のページを見てみましょう。
- 「〇〇ビジネスサポート」などの社名を探す:グループ会社の中に、人事や経理を代行していそうな名前の会社がないかチェックします。
- 中期経営計画などの資料を見る:資料内で「シェアードサービスの推進」という言葉が出てきたら、その会社は効率化に力を入れている証拠です。
面接で「御社のシェアードサービスによる効率化の取り組みに興味があります」と言えたら、「この学生、組織の仕組みをよく勉強しているな!」と驚かれるはずですよ!