「今回の新商品、競合と戦うために『STP(エスティーピー)』をしっかり詰めておいて」
上司からそう言われたとき、私は心の中で「STP……? サービス(S)・ティー(T)・ポット(P)のこと? お茶でも淹れればいいの?」と、的外れな想像をしていました。
「あの、STPっていうのは、おもてなしのことですか?」
ポカンとする私に、先輩は街の地図を広げながら教えてくれました。
「STPはね、マーケティングの『戦い方を決める3ステップ』だよ。誰に、どんな立場で勝負を挑むのか。自分たちのポジションをハッキリさせるための道具なんだ」
これ、実は大企業と同じ土俵で戦って負けるのを防ぎ、自分たちを一番好きになってくれるお客さんを見つけるために 「もっとも基本で、もっとも効果的な絞り込み術」 です。
この記事では、行列のできるラーメン屋さんに例えて、STP分析の正体とやり方をやさしく解説します。
STP分析とは? 一言でいうと「勝てる場所を見つける『3つの手順』」
結論から言うと、STP(エスティーピー)分析とは、「セグメンテーション(市場細分化)」「ターゲティング(標的設定)」「ポジショニング(立ち位置)」の3つの頭文字をとった分析手法 です。
これを 「ラーメン屋の開店」 に例えると、非常にわかりやすくなります。
- S:Segmentation(分ける):世の中には「こってり好き」「あっさり好き」「お年寄り」「学生」など、色んなお客さんがいることを 把握する。
- T:Targeting(絞る):その中から 「学校の近くにいる、お腹を空かせた食べ盛りの学生さん」 に狙いを定める。
- P:Positioning(場所を取る):その学生さんに対して、「どこよりも安くて、山盛りの野菜が載ったラーメン」 という独自の立ち位置を確立する。
「誰でもいいから来てください」というお店には、誰も来ません。「〜なあなたには、うちが一番ですよ!」 と自信を持って言える場所を探すのがSTP分析の役割です。
ビジネスの現場でSTPという言葉が出る場面
「勝負の方向性」を決めるシーンで必ず登場します。
1. 「ターゲット層へのポジショニングが甘いですね」
意味:
「誰に売るか」は決まったけれど、その人たちにとって自分たちが「他と何が違うのか」という魅力が十分に伝わっていないよ、という厳しい指摘です。
2. 「競合がいないSTPの空白地帯を探しましょう」
意味:
ライバル店がひしめき合っている「普通の醤油ラーメン」ではなく、誰もやっていないけれど求められている「激辛のヘルシー麺」のような穴場を見つけようよ、ということです。
3. 「STP分析の結果、今回のキャンペーンは見送ることにしました」
意味:
分析してみたら、狙っているお客さんはライバルのことが大好きすぎて、自分たちが入り込む隙間が全くなかったから、無駄なお金を使うのはやめておくよ、ということです。
絶対に覚えておくべき!「3C分析」との違い
混同しやすい「3C分析」との違いを整理しました。
| 比較ポイント | 3C分析 | STP分析 |
|---|---|---|
| 役割 | 「環境を知る」(材料集め) | 「戦略を立てる」(料理作り) |
| 順番 | 最初(まず調べる) | 次(次に決める) |
| 焦点 | お客、ライバル、自社の関係 | 誰に、どう売るかという方針 |
| 例え話 | 地図で街の様子を見る | 地図を見て「ここに店を出す」と決める |
まとめ:明日からできる第一歩!
この記事のポイントは次のとおりです。
- STPは、市場を分け、狙いを定め、立ち位置を決めること
- 「ラーメン屋の絞り込み戦略」をイメージすればOK
- 「全員」を狙わず、「特定の誰か」に好かれることが成功の鍵
「STP」な感覚を身につけるために、こんな一歩から。
- 「好きなお店」のSTPを予想する:あなたが通っているカフェ。あのお店は「どんな人(T)」を、「どんな魅力(P)」で呼んでいると思いますか? 想像するだけでSTPの練習になります。
- 「自分」をSTPで考えてみる:あなたはどんな人に、どんな強みで頼られたいですか? 自分の立ち位置を考えることも、立派なSTP分析です。
- 「言い換え」を使ってみる:「STP」が難しければ、「狙い撃ち作戦」「独自の立ち位置作り」と言い換えてみてください。それだけで、仕事の狙いがぐっと鋭くなりますよ!