「世界トップクラスの大企業が、国に税金をほとんど払っていないって本当?」
「パナマ文書のニュースで『タックスヘイブン』って言葉を聞いたけど、天国みたいないい場所のこと?」
マジメに働いて高い税金を払っている私たちからすると信じられませんが、世界の大富豪や巨大企業の一部は、「合法的に税金を一銭も払わない(あえて払わない)ルート」を活用しています。
この記事では、彼らが愛用する謎の地域「タックスヘイブン(租税回避地)」のカラクリと、なぜそんな理不尽な仕組みが許されているのかをやさしく図解します。
タックスヘイブンとは? 一言でいうと…
タックスヘイブン(Tax Haven / 租税回避地)とは、一言でいうと「世界中のお金持ちや企業を呼び込むために、『うちの国に会社を作れば、税金をゼロ(または超激安)にしますよ!』とアピールしている国や地域」のことです。
※豆知識:ヘイブン(Haven)は「天国(Heaven)」ではなく、「避難所・隠れ家」という意味です。つまり「税金からの隠れ家」ですね。
日本の法人税(会社の儲けにかかる税金)は約30%ですが、カリブ海にある小さな島国(ケイマン諸島など)は「税率0%」を宣言しています。すると世界の大企業はこぞって「それなら日本の利益を全部その島国に移せば、税金を払わなくて済むのでは?」と考えるのです。
身近なたとえで言えば、「近所のスーパーは消費税が10%かかるけど、隣の町の八百屋に行けば消費税が0%なので、わざわざ隣町に住所を移してそこで爆買いするような大掛かりな節約術」です。
どうやって税金を逃れるの?(合法的なズル)
大企業は、実際にその南の島に巨大な工場を建てるわけではありません。ある「紙切れ」を使って巧妙に税金を消し去ります。
ペーパーカンパニー(ダミー会社)の錬金術
【ステップ1:島にダミーを作る】
日本の大企業A社が、タックスヘイブン(無税の国)に実体のない「子会社X」を設立登記だけします。ビルも社員もおらず、ただの私書箱(ペーパーカンパニー)です。
【ステップ2:利益をわざと移す】
A社が日本で100億円ボロ儲けしました。普通なら日本の税務署に30億円の税金を取られます。そこを回避するため、A社は子会社Xに「特許の使用料」や「コンサルティング料」という名目で100億円を全額支払います。
【ステップ3:日本での利益ゼロ、島での税金もゼロ】
こうすると、A社は日本での利益が「±0円(経費で飛んだ)」になり、日本に税金を払わなくてよくなります。一方、100億円を受け取った子会社Xはタックスヘイブンにあるため、「税率0%だから、100億円まるまる手元に残る」のです。
なぜこんなズルイことが許されているの?
「そんなの脱税で逮捕すればいいじゃないか!」と思うでしょう。しかし、これは各国の法律の隙間を縫った「節税・租税回避」であり、今の法律上は合法(捕まらない)のです。
ではなぜ、タックスヘイブンの国は無税にするのか?
小さな島国には、石油のような資源も産業もありません。そこで「税金ゼロのルール」を作ることで、世界中の企業に会社登記をしてもらい、その「手数料(登記代)」などを集めて国を潤わせているという事情があるのです。
しかし、日本やアメリカなどの大国からすれば、「自分たちの国で作った利益の税金を、小さな島国に逃がされた」ことになり、国家の大損害となります。これが世界中で「不公平だ!」と大問題になっている理由です。
明日からできる第一歩
グローバル企業とタックスヘイブンとのイタチごっこは、現在も熾烈な国際ルールの変更が行われています。まずは以下の行動をしてニュースを深堀りしてみましょう。
- 「ヘブン(天国)」ではなく「ヘイブン(避難所)」であることを周りにドヤ顔で教えてあげる
- ニュースで有名なグローバル企業が「税金逃れを指摘された」と見たら、「ペーパーカンパニーを使って利益を移したんだな」と裏のカラクリを理解する
- マジメに日本で税金を払っている自分の会社の社長のことを、少しだけ尊敬してみる
お金は「水」のようなもので、より抵抗のない(税金の少ない)下流へと勝手に流れていってしまいます。この巨万の富の流れをどうやって国際社会が食い止めるのか、ぜひ今後のニュースに注目してみてください。