「うちの会社は昔ながらの『メンバーシップ型(Membership-based Employment)』だから、じっくり育てるよ」

入社式の後のオリエンテーションで、人事の先輩が言ったこの一言。私は心の中で「メンバーシップ……? 会員制のこと? ファンクラブみたいなものかな?」と、的外れな想像をしていました。

「あの、メンバーシップ型っていうのは、特別な特権があるんですか?」

ポカンとする私に、先輩は粘土をこねる仕草をしながら教えてくれました。

「メンバーシップ型はね、『何にでもなれる粘土』みたいな働き方のことだよ。最初から役割を決めずに、会社の状況に合わせて色んな仕事を経験しながら成長してもらうスタイルなんだ」

これ、実は日本の多くの企業が採用してきた、「もっとも安心感があり、もっとも会社との一体感を感じられる伝統的な働き方」 です。

この記事では、形を変えられる粘土に例えて、メンバーシップ型雇用の正体とメリット・デメリットをやさしく解説します。

メンバーシップ型雇用とは? 一言でいうと「会社という『チームの一員』になること」

結論から言うと、メンバーシップ型雇用とは、「職務(ジョブ)を限定せず、まずは人を採用して、そのあとで様々な業務を経験させながら人を育てていく雇用形態」 です。

これを 「粘土」 に例えると、非常にわかりやすくなります。

  • ジョブ型(欧米流)「パズルのピース」。形が決まっていて、そこにぴったりはまる仕事しかやりません。
  • メンバーシップ型(日本流)「粘土」。最初はただの塊として採用されるけれど、営業部に配属されれば「丸」に、総務部に行けば「四角」に、会社の必要に合わせて形(役割)を柔軟に変えていく イメージです。

「この仕事をやってね」ではなく、「この会社の一員として、なんでも頑張ってね」というのがメンバーシップ型雇用の正体です。

ビジネスの現場でメンバーシップ型という言葉が出る場面

「異動」や「教育」を語るシーンで必ず登場します。

1. 「メンバーシップ型雇用だからこそ、ジョブローテーション(異動)が可能です」

意味:
「私はこれしかやりません」という契約ではないから、色んな部署を経験して、会社全体のことをよく知る「ゼネラリスト(万能選手)」になれるチャンスがあるよ、ということです。

2. 「終身雇用や年功序列は、メンバーシップ型の代表的な特徴です」

意味:
「会社の一員(メンバー)」として長く居続けてもらうことを前提に、年齢とともに給料が上がったり、定年まで守ってあげたりする仕組みのことです。

3. 「これからの時代、メンバーシップ型とジョブ型のハイブリッドが必要です」

意味:
「なんでも屋」もいいけれど、それだけでは勝てない。日本の良さを活かしつつ、特定の分野に強いプロも育てていけるような、いいとこ取りの仕組みを作ろうよ、ということです。

メンバーシップ型雇用のメリットとデメリット

働く人にとっての「光」と「影」を整理しました。

比較ポイントメリット(光)デメリット(影)
雇用クビになりにくく、安定している会社に人生を預けることになる
経験幅広いスキルが身につく専門性が育ちにくい
異動新しい自分を発見できる望まない転勤や異動がある
例え話なんでも作れる 「粘土」他では使えない形になるかも

まとめ:明日からできる第一歩!

この記事のポイントは次のとおりです。

  • メンバーシップ型は、会社全体で人を育てる日本の伝統スタイル
  • 「形を変えられる粘土」をイメージすればOK
  • 安定している分、自分から「学び」を取りに行く姿勢が大事

「メンバーシップ型」な環境で自分を磨くために、こんな一歩を。

  1. 「隣の部署」の仕事を見てみる:せっかく何でも経験できる環境です。自分の担当外の仕事にも興味を持って、「何をしてるんですか?」と聞いてみましょう。それがあなたの価値を高めます。
  2. 「自分の芯」を決める:会社に言われるがまま形を変えるだけでなく、「私はこれが得意な粘土だ!」という自分なりの強みを一つだけ持っておきましょう。
  3. 「言い換え」を使ってみる:「メンバーシップ型」が難しければ、「会社の一員として働く」「ゼネラリストを目指す」「終身雇用の仕組み」と言い換えてみてください。それだけで、働き方の意味がぐっと深く理解できますよ!