「うちの会社も働き方改革でフレックスになったんだぜ!朝は満員電車を避けて10時に出社できるんだ」 「へえ、いいね!じゃあ明日は午後から子供の授業参観があるから、13時で早退してもいいの?」 「いや……『朝10時から昼15時までは絶対に連絡がつくように働かないといけない(コアタイム)』っていう会社のルールがあるから、13時に帰ったら欠勤扱いになって怒られちゃうんだよな……」

これが、世の中のほとんどの会社が導入している「普通のフレックスタイム制」の限界です。結局、一番のゴールデンタイムは会社に縛り付けられています。

こうした「中途半端な自由」を完全にぶっ壊し、「結果さえ出せば、いつ働こうがいつ休もうが、朝礼すらすっぽかして完全に自由だ!」という究極の性善説で作られた働き方が「スーパーフレックスタイム制」です。今回は、優秀なエリート社員だけが許されるこの究極の自由について解説します。

スーパーフレックスとは? 一言でいうと

一言でいうと、スーパーフレックス(フルフレックスとも呼ばれます)は「1日あたりの労働時間を自由に決められるフレックスタイム制の中から、『この時間帯だけは絶対に働かなければダメ』という義務時間(コアタイム)をなくし、24時間いつでも好きな時に働いていい制度」のことです。

これを、「学校のチャイム(時間割)」に例えてみましょう。

【昔の普通の学校(定時制)】 朝8時にチャイムが鳴って全員一斉に授業開始、夕方17時にチャイムが鳴って全員一斉に下校。遅刻したら怒られます。

【少し自由な学校(普通のフレックス制)】 「朝の登校時間は8時から11時の間で自由にしていいよ。でも、必ずお昼の11時から14時の間(コアタイム)だけは全員教室にいなさい。その後はいつ帰ってもいいよ」。いくら自由とはいえ、「絶対に全員が集まる強制の授業時間」が真ん中に残っています。

超・自由な学校(スーパーフレックス制)「学校のチャイムを全部ぶっ壊しました。何時に来ても、何時に帰っても、昼間に一回家に帰っても誰も怒りません。」 朝の5時からお昼まで猛烈に勉強して午後から遊びに行ってもいいし、逆にお昼まで寝ていて、夕方から夜中まで図書館で勉強してもOK。「期末テストでちゃんと点数(仕事の成果)さえ出せば、時間の使い方は100%あなたの自由」という、大人扱いされた究極の学校なのです。

ビジネスの現場での使い方

実際の現場で「スーパーフレックス」がどう使われているのか、よくある3つの場面を見てみましょう。

「我が社もついにスーパーフレックス(コアタイム廃止)を導入するぞ!」

  • 裏にある意味・意図
    • 「今までは『10時〜15時は絶対勤務』というルールがあったせいで、お昼に市役所に行ったり、急に熱を出した子供を病院に連れて行ったりする時に『すいません、中抜けします』とペコペコ謝らなければならなかった。これからはコアタイムをなくすので、平日の真昼間に堂々と美容院に行って、その分を夜に働いてカバーしても全く問題ないぞ」
    • 社員のプライベートな突発イベントにも対応できる、最強のワークライフバランスの提供。

「スーパーフレックスだからといって、会議をすっぽかしていいわけじゃない」

  • 裏にある意味・意図
    • 「『何時に働いても自由』というのは、『誰にも迷惑をかけない範囲なら』という大前提がある。明日の13時から重要なチームのオンライン会議が入っているのに、『僕、夜型人間なんで15時まで寝てまーす(働いていませーん)』というのは単なる無責任な社会不適合者だ。相手のスケジュールに合わせて柔軟に対応する大人としての常識を持て」
    • 自由の裏にある「圧倒的な自己管理とチームへの配慮」への釘刺し。

「スーパーフレックスになると、評価基準を『成果』に全振りするしかない」

  • 裏にある意味・意図
    • 「部下が何時から何時まで机に向かっているのか、上司はもう全く管理できない(サボっているかどうかわからない)。ということは、『あいつは夜遅くまで頑張っているから評価してやろう(長時間労働の評価)』という古いマネジメントは絶対に通用しない。純粋に『今月どれだけ売上を作ったか』『どんないいプログラムを書いたか』という、アウトプットの質(成果物)だけでドライに評価するしかないんだ」
    • 「頑張り(時間)」ではなく「結果」しか見ないという、厳しい実力主義への移行。

「裁量労働制」との違い

「それって、定額働かせ放題と言われる『裁量労働制』のことじゃないの?」と勘違いしたブラック企業がよくルールを悪用します。

比較ポイントスーパーフレックスタイム制(参考)裁量労働制
残業代の計算毎月の「総労働時間」で計算する(今月は合計160時間働くルールで、170時間働いたら10時間分の残業代が出る「みなし時間」で計算する(1日8時間働いたと”みなす”ルールなので、10時間働いても2時間で帰っても残業代は固定
働く時間の自由度いつ働くかを100%自分で選べる(コアタイムなしの自由)仕事の進め方や時間配分を自分で選べる(自由)
現場での大きな違いあくまで「時間管理(タイムカード)」は存在し、長く働けばちゃんと残業代がもらえるホワイトな制度タイムカードの概念がなくなり、終わらなければ徹夜しても残業代が出ない(定額働かせ放題になりやすい)制度

見分け方としては、「スーパーフレックスは『働くタイミング(いつ開始していつ終わるか)が自由』なだけで、働いた分の時給(残業代)はきっちり計算される制度。裁量労働制は『いくら時間をかけても定額』の制度」と覚えましょう。スーパーフレックスは労働者にとってめちゃくちゃ有利なルールです。

まとめ

  • スーパーフレックスタイム制とは、従来のフレックス制にあった「何時から何時までは必ず働かないといけない(コアタイム)」という縛りを完全に撤廃した究極の自由な働き方。
  • 学校で例えるなら「チャイムが一切鳴らず、いつ登校していつ帰ってもいい。テストの点数さえ良ければ途中で映画を見に抜け出してもOK」という状態である。
  • 「いつサボってもバレない」という圧倒的な自由が与えられる分、時間ではなく「成果(結果)」でしか評価されないという、非常に厳しくタフな自己管理能力が求められる。

今日できるミニアクション: もし明日からあなたの会社が「スーパーフレックス(何時に働いてもOK)」になったと想像して、自分のカレンダーを見てください。そして、「一番頭が冴えている午前中に重い資料作成をやり、少し眠くなる14時〜16時は思い切って昼寝(休憩)にし、夜に少し残りの作業をする」といった「自分だけの最強のオリジナル時間割」を紙に書いてみてください。他人に決められた時間ではなく、自分のバイオリズムに合わせて業務をパズルのように組み立て直す思考実験が、生産性を爆上げする第一歩になります。