「すみません、パソコンの動作がすごく重くて……。これって、データの入れすぎですかね?」
入社して数週間。デスクトップにファイルをたくさん並べていた私は、パソコンが遅くなった原因を「容量不足」だと思い込み、一生懸命ファイルをゴミ箱に捨てていました。そこへ通りかかった情シスの先輩が画面を覗き込みます。
「いや、それはデータの量じゃなくて、『メモリ』が足りてないんだよ。まな板が狭すぎるんだね」
「メモリ……? まな板? 私、パソコンで料理はしてないですけど……」
先輩は笑いながら「パソコンの中には、調理台があるんだよ」と教えてくれました。
実は、パソコンの速さを決めるのは「保存できる容量(ストレージ)」だけではありません。むしろ、普段の作業の快適さを左右するのは、この 「メモリ」 というパーツです。今回は、 「キッチンの調理台」 に例えて、メモリの正体を3分で解説します!
メモリとは? 一言でいうと「料理を並べる『キッチンの作業台』」
結論から言うと、メモリ(正式にはRAM:ラム)とは、パソコンが今まさに作業しているデータを、一時的に置いておく場所 のことです。
CPUの記事でも紹介した「レストランの厨房」の例えで考えると、非常にわかりやすくなります。
- CPU(シェフ):命令を処理する人
- ストレージ(冷蔵庫):大量の食材を「保存」しておく場所
- メモリ(作業台):料理を作るために、食材を 「一時的に並べる」 場所
料理を作るとき、いちいち冷蔵庫の前で野菜を切ったりはしませんよね? 冷蔵庫から使う分だけ食材を取り出し、広い作業台(メモリ)にドサッと広げてから作業するはずです。
もしこの作業台(メモリ)がすごく狭かったらどうでしょう? キャベツを切るたびに、まな板以外のものを一度冷蔵庫に戻さないといけません。この「出し入れのムダ」こそが、パソコンが重くなる原因の正体なんです。
ビジネスの現場でメモリという言葉が出る場面
「メモリ」という言葉は、仕事環境を整えるときに頻繁に登場します。
1. 「ブラウザのタブを50個も開いてるから、メモリを食ってるんだよ」
意味:
「作業台の上に、今使わない道具や食材を広げすぎだよ。作業スペースがなくなってシェフが困ってるよ」ということです。使わないアプリを閉じるだけで、作業台は広くなります。
2. 「このPC、メモリを16GBに増設したからサクサク動くよ」
意味:
「作業台のサイズを2倍に広げたから、一度にたくさんの料理を作っても渋滞しないよ」ということです。メモリを増やすことは、パソコンを速くするための最も効果的な方法のひとつです。
3. 「Teams会議しながらExcel開くと、メモリ不足で落ちちゃうな」
意味:
「一度に大きな作業(会議)と、別の作業(Excel)を並べるには、今の作業台(メモリ)では小さすぎて限界だよ」ということです。複数のアプリを同時に使う人ほど、広いメモリが必要になります。
メモリとストレージの違い
初心者が一番間違えやすいのが、メモリと「ストレージ(HDDやSSD)」の混同です。役割は全く違います。
| 比較ポイント | メモリ(RAM) | ストレージ(SSD/HDD) |
|---|---|---|
| 役割 | 今やる作業の 一時置き場 | データをずっと取っておく 保管庫 |
| たとえ話 | キッチンの 作業台 | 食材を入れる 冷蔵庫 |
| 電源を切ると? | 中身が 消える | 中身は 残る |
| 大きさの目安 | 8GB / 16GB など(少なめ) | 256GB / 512GB など(多め) |
| 現場での見分け方 | 作業の「快適さ」に関わる | 保存できる「量」に関わる |
「パソコンの容量がいっぱいです」という通知が出るのは、冷蔵庫(ストレージ)がパンパンな状態。一方で、保存はできるのに動きがカクカクするのは、作業台(メモリ)が狭い状態です。「保存」なのか「作業」なのか を区別するのがポイントです!
まとめ
この記事のポイントは次のとおりです。
- メモリは、作業中のデータを置く「キッチンの作業台」
- メモリが広いほど、たくさんのアプリを同時に動かしても速い
- 「保存」する冷蔵庫(ストレージ)とは別物
今すぐできる確認方法
あなたのパソコンの「作業台」が、今どれくらい埋まっているか見てみましょう!
- キーボードの 「Ctrl + Shift + Esc」 を押してタスクマネージャーを開く
- 「パフォーマンス」タブの 「メモリ」 をクリック
- グラフを見て、「使用中」が「合計」の80%を超えていたら、作業台が狭すぎてパンパンな状態です!
もしメモリがいっぱいなら、今使っていないブラウザのタブを閉じたり、パソコンを再起動したりして、作業台を一度キレイに片付けてみてください。それだけで、パソコンの機嫌が良くなるはずですよ。