「私の大好きなインフルエンサーのAちゃんが、インスタで『最近自分で見つけたこの青汁、本当に肌が綺麗になるから大好きなの!』って投稿してたの!Aちゃんが自腹で買って個人的にオススメしてるなら、絶対に良いものだよね!私も買おうっと!」 (※実はその裏で、Aちゃんは青汁メーカーから『一般の客のフリをして絶賛してくれたら、報酬100万円払うよ』と契約し、お金をもらって投稿していました) 「えっ!?Aちゃんの個人的な感想じゃなくて、ただの『企業案件(広告)』だったの!?だまされた!もう二度とこの人のことも、この青汁も買わない!」

消費者の「口コミを信用する心理(ウィンザー効果)」を悪用し、宣伝であることを隠して一般市民のフリをする最悪の裏切り行為。

日本では法律(景品表示法)で明確に禁止され、見つかれば大炎上して一生ネットから干されるタブー、「ステマ(ステルスマーケティング)」について解説します。

ステマ(ステルスマーケティング)とは? 一言でいうと

一言でいうと、ステマ(Stealth Marketing:レーダーに引っかからないステルス戦闘機のように隠れた宣伝)は「本当は【広告(仕事)】なのに、それを隠して【個人の本音】のフリをして商品を売り込む、消費者の信頼を裏切る詐欺的なマーケティング」のことです。

これを、「スーパーの実演販売と、お客さんに紛れ込んだサクラ(ステマ)」に例えてみましょう。

スーパーの試食コーナーで、エプロンを着たおばちゃん(企業の販売員)が「このウインナー、本当に美味しいですよ!買ってください!」と叫んでいます。 お客さんは「どうせ自分の商品を売りたいだけだから(広告だから)、大げさに褒めてるだけでしょ」と警戒のバリアを張っています。

しかし、お客さんの隣に立っていた「ただの主婦のフリをしたおばさん(インフルエンサー)」が、実演販売のウインナーを食べて大げさに叫びます。 「えーっ!?私、今まで色んなウインナー食べてきたけど、これがダントツで人生で一番美味しいわ!お金払うから今すぐ3袋ちょうだい!!(※裏で企業から1万円もらったサクラの演技)」 すると、周りの一般客は「え!ただの主婦の人が自腹でそこまで絶賛するなら、本当に美味しいんだ!(企業のアピールより信頼できる!)」と見事に騙され、飛ぶように売れてしまいます。

このように、「広告へのバリアをスルーするため、宣伝であることを隠して一般人のフリ(サクラ)をする行為」がステマであり、消費者の「選ぶ権利(正しい情報で判断する権利)」を奪うため、非常に卑劣な犯罪(景表法違反)として取り締まられているのです。

ビジネスの現場での使い方

実際の現場で「ステマ」がどう使われているのか、よくある3つの場面を見てみましょう。

「インフルエンサーに化粧品を提供(プレゼント)して投稿させる時は、必ず【#PR】を付けさせろ!」

  • 裏にある意味・意図
    • 「たとえ現金の報酬を払っていなくても、『企業が商品(化粧品など)を無償で提供して、それについてSNSで良いことを書いてもらう』のは、立派な広告(企業案件)だ。もしインフルエンサーが自腹で買ったフリをして投稿すれば、完全に違法な『ステマ』になり、消費者庁から企業宛てに指導が入るぞ。防ぐためには、投稿の一番目立つ最初の方に【#PR】【プロモーションを含みます】と明記させ、消費者に『これは広告ですよ』と正々堂々宣言させろ」
    • ステマ規制法(2023年施行)における、企業が絶対に守らなければならない基本ルール。

「社員にサクラとして食べログに星5のレビューを書かせるのは、ステマで一発アウトだ」

  • 裏にある意味・意図
    • 「飲食店を新規オープンした時、自社の社員やアルバイトにスマホを使わせて、『ここのラーメン、偶然フラッと入ったけど人生で一番美味しかった!星5つ!』と客のフリをして身内で口コミを偽装する行為。これは古典的だが、最も悪質なステマだから絶対にやるな!グルメサイト側にバレたら掲載停止になるし、客にバレたら『嘘つきの店』として大炎上して一瞬で倒産するぞ」
    • ネットの評価(ランキング)を、業者や身内のサクラを使って不正に操作することへの警告。

「ステマをやりたいという広告代理店の提案は、倫理的にお断りします」

  • 裏にある意味・意図
    • 「胡散臭い広告代理店が『うちのネットワークで、一般ユーザーのアカウントを使って、御社の商品を自然に口コミ風にバズらせま(ステマしま)すよ』と提案してきたら、迷わずキックアウトしろ。一時的には売れるかもしれないが、バレたときのリスクが高すぎる。企業としてのブランド価値(信頼)を一度失えば、取り戻すのに10年かかるんだぞ」
    • 短期的な利益(麻薬)に目がくらみ、企業の長期的な信頼をドブに捨てる悪魔の勧誘に対する拒絶。

「ステマじゃない真っ当なPR」との見分け方

現在、企業やインフルエンサーはステマだと疑われないように、法律に則った「正しいルール」で宣伝を行っています。

ステマ(黒・違法)の例真っ当なPR(白・合法)の例なぜ合法なのか?の違い
読者モデルが、企業から100万もらっているのに、「休日にたまたま見つけて自腹で買ったこのコート、最高〜!」と嘘をつく。読者モデルが、投稿の冒頭に「#PR 〇〇社様からコートを【ご提供】いただきました!着心地最高〜!」と正直に書く。「企業との利害関係(お金や商品の授受)」を、消費者に隠さずに(堂々と宣言して)いるから。
企業の社員が身分を隠して、ヤフー知恵袋に「〇〇という会社の掃除機、私が一般客として使ったら最高でした」と書き込む。企業の公式アカウントが、「弊社(〇〇会社)の社員である私が、自社の掃除機の良さを熱く語ります!」と堂々と書き込む。見ている人が「ああ、これは企業の宣伝(ポジショントーク)だな」と事前に察知して、警戒しながら読めるから。

見分け方としては、「『私は企業からお金(商品)をもらって宣伝しているインフルエンサー(または社員)です』と、消費者に正々堂々【広告バッジ(#PR)】を見せてから話す姿勢」こそが、ステマではないことの証明書になります。

まとめ

  • ステマ(ステルスマーケティング)とは、企業から金銭や商品の提供を受けて宣伝している(広告である)事実を消費者に隠し、あたかも「1人の純粋な一般ユーザー(第三者)が、自分の意思で商品を褒めている(口コミ)」ように偽装する悪質なマーケティング手法のこと。
  • 人間は「企業のCM(私を買って!)」には警戒心を持つが、「一般人の口コミ(これ最高だったよ!)」はコロッと信じてしまう(ウィンザー効果)ため、その心理の裏を突いたステマは消費者を重度に騙す詐欺行為として、日本では景品表示法違反に問われる(2023年10月から法規制開始)。
  • 騙されないための最大の自衛策は、インフルエンサーの投稿を見る時に、「#PR」「#タイアップ」「提供:〇〇社」という記載がないか、または文章の中に「企業のご機嫌を取るような不自然な褒めちぎり(ベタ褒め)」がないかを疑う目を持つことである。

今日できるミニアクション: あなたがよく見ている、美容系やガジェット系のYouTuberの動画や、Instagramの投稿を開いてみてください。そして、投稿の「タイトルの左上」や「概要欄の文章の最初」に、「プロモーションを含みます」「#PR」「タイアップ」という文字がないか探す癖をつけてください。もしその文字があれば、「ああ、この人はしっかりとルールを守って、企業からお金をもらって宣伝しているんだな(ステマじゃない真っ当な仕事だな)」と、逆にその人を信用してあげてください。一番恐ろしいのは、#PRをつけていないのに、明らかに不自然に特定のブランドの商品だけを大絶賛している「隠れステマのインフルエンサー」です。