「昨日、全校生徒の前でスピーチしちゃった……。みんな私のこと、どう思ったかな?『あいつの話し方キモかった』とかX(Twitter)に書かれてないか不安で夜も眠れないよ」 (……検索窓に自分の名前『山田太郎 スピーチ』を入力して検索ボタンを押す) 「あ、あった!『山田先輩のスピーチ感動した!』だって!やったー!……あっ、でもこっちの投稿には『山田の顔ウザすぎワロタ』って無数に書かれてる!!もう立ち直れない……!」

誰だって、他人から自分がどう見られているのか(どう評価されているのか)は、死ぬほど気になりますよね。

しかし、インターネットという「全世界の便所の落書き」が集まる場所で、あえて自分の本名やペンネームを検索し、他人の生々しい本音を覗き見してしまう行為、「エゴサ(エゴサーチ)」について解説します。

エゴサ(エゴサーチ)とは? 一言でいうと

一言でいうと、エゴサーチ(Ego Surfing / Ego Searching:自己・エゴを検索する)は「有名人や一般ユーザー、あるいは企業が、自分の世間からの評判(口コミ)や反応を知るために、日夜X(Twitter)などで自分の名前を検索パトロールする行動」のことです。

これを、「教室の扉の外から、自分の陰口を聞き耳立てる行為」に例えてみましょう。

あなたは放課後、自分がいない教室でクラスメイトたちが何の話をしているのか気になり、扉の隙間からこっそり聞き耳を立てます(=エゴサーチの検索ボタンを押す)。 もしそこで「〇〇ちゃんって本当に性格が良くて可愛いよね!」と褒められているのを聞けば、「やった!私って最高!(承認欲求の爆発)」と天にも昇る気持ちになります。 しかし、もし「〇〇の今日の服ダサかったよね〜、マジキモい」という陰口を聞いてしまったら、「うわあああ!(メンタル崩壊)」と立ち直れないほどの深い傷を負います。

聞かなければ平和だったかもしれない他人の声(ノイズ)を、わざわざ自分から「検索(聞き耳)」しにいって、一喜一憂し、時には心を病んでしまうという非常にハイリスク・ハイリターンな現代社会の癖(病い)です。

ビジネスの現場での使い方

実際の現場で「エゴサ(エゴサーチ)」がどう使われているのか、よくある3つの場面を見てみましょう。

「マーケティング担当者は、毎日『自社の商品名』でエゴサして世間の空気を読め」

  • 裏にある意味・意図
    • 「企業がお金を払って集めた『アンケートの感想』なんて、客が建前で書いたウソばかりだ。本当の『消費者の生々しいクレームやガチの感動』を知りたければ、X(Twitter)で『ウチの商品名』でエゴサ(検索)しろ。そこで『この商品のこの部分が使いにくい(怒)』というリアルな不満を見つけ出し、次の商品の改善に活かす(ソーシャルリスニング)のが一流のマーケッターの仕事だ」
    • 企業におけるエゴサは、メンタルすり減らしゲームではなく、貴重な「無料の市場調査・顧客の声(VOC)収集ツール」であるという本質。

「炎上した時は、エゴサを完全に禁止する!スマホを置いて寝ろ!」

  • 裏にある意味・意図
    • 「YouTubeで失言して大炎上してしまったタレントの君。今すぐ自分からエゴサをして、ネット民が君をどう罵倒しているかを見るのをやめなさい!炎上中のエゴサは『世界中の全員が自分を憎んでいる』と錯覚させ、君のメンタルを完全に破壊(鬱状態)にしてしまう猛毒だ。1週間はスマホを見ずにマネージャーの私に任せておくんだ」
    • 人間の脳は「1つの悪口」を「100の賞賛」よりも強烈に記憶してしまうため、自己防衛のためのデジタルデトックスの指示。

「エゴサで見つけた一般人の感想に、公式アカウントで急に『いいね』をつけるなよ」

  • 裏にある意味・意図
    • 「企業の公式Twitterアカウントで、自社のカップラーメンのことを『美味しい』とつぶやいてくれた一般人の何気ない投稿に対し、勝手にエゴサして見つけ出し、無言で企業の公式マークで『いいね』を押すな(ファボ爆撃)。お客さんからすると『えっ!?企業の人に常に監視されてるの!?怖っ!』とストーカーのように気味悪がられて逆効果になることがある。エゴサはあくまで『こっそり見る(見守る)』のが基本だ」
    • 「見られていないと思っている場所」に、突然【企業という巨大な存在】がズカズカと介入することの不快感への配慮。

エゴサをするときの「3つの防具(心構え)」

もしあなたが、自分の名前や作品でエゴサをせずにはいられない体質なら、心を病まないために以下の3つのルール(防具)を必ず装備してください。

エゴサのルール(防具)その理由(ネットの真理)心を開き直るための呪文
①「1の大炎上」は、実は「3人のヒマ人」が騒いでいるだけと知るネットで「お前の悪口がいっぱい書かれている」ように見えても、よく調べると【クラスの端っこのヒマな3人が、100回連続で書き込んでいるだけ(ノイジー・マイノリティ)】であることが大半です。「なんだ、世界中が敵じゃなくて、顔も知らない3人のオジサンが連投してるだけか(笑)」
② わざわざ「批判」を書き込む人間は、私生活が不幸な人だと割り切る毎日が幸せで充実している人は、わざわざ検索して他人の悪口(クソリプ)を書き込む暇なんてありません。悪口は、彼らのストレス発散の八つ当たりです。「私に文句を言っているこの人、毎日仕事で上司に怒られて辛いんだろうな。可哀想に」
③ アンチは「一番の熱狂的なファン(お客様)」であるあなたのことを「嫌い・憎い」と言いながら、毎日あなたの動向をチェックし、隅々まで見て時間を割いて長文の感想(悪口)を書いてくれる人は、無関心な人よりよっぽどあなたに執着(愛)しています「私のことが一日中頭から離れないなんて、私に惚れてる証拠だね。時間をくれてありがとう!」

見分け方としては、「『嬉しい言葉だけを栄養ドリンクとして飲み干し、悪口は『あそこに変なウンコ落ちてるな〜(笑)』とスルーできる強靭なメンタル』を持った人だけが、エゴサーチという麻薬に手を出して良い」という絶対の掟を覚えましょう。

まとめ

  • エゴサ(エゴサーチ)とは、SNSやインターネットの検索エンジンに、自分自身の本名、ハンドルネーム、自社の商品名などを入力し、世間から自分がどう思われているか(評価・口コミ)を検索して調べる行為のこと。
  • 有名人だけでなく、一般人や企業にとっても「自分の改善点を見つけるための立派な市場調査(フィードバック収集)」となる一方で、匿名の人々の「容赦のない刃(誹謗中傷)」をダイレクトに浴びて心を病んでしまう危険な行為でもある。
  • ネットの悪口は、スピーカーで大声で叫んでいる【たった1%の暇人】の意見が、まるで【世界中の全員の意見】のように錯覚してしまう恐ろしい罠があることを常に忘れてはいけない。

今日できるミニアクション: 実は、あなたがエゴサで「自分の名前」を打ち込む以外にも、企業のマーケティングで使える、ちょっと高度なエゴサ(市場調査)のテクニックがあります。X(Twitter)の検索窓で、「自社の商品名(またはライバルの商品名)と、『スペース(空白)』を空けて、『高い』または『微妙』または『やめた』」と打ち込んで検索してみてください。(例:「ルンバ 高い」等)。 すると、お客さんがその商品を買おうとしたけど【何につまずいて(不満を感じて)諦めたのか】という、一番知りたいリアルなネガティブな本音(改善のヒント)だけがズラッと抽出されます。これを集めて対策を練るのが、企業がやるべき正しい「エゴサの有効活用」です。