「社長、我が社のホームページは月間10万アクセスと大盛況です!これなら今月は億万長者ですね!」 「……でも、蓋を開けたら実際に商品を買ってくれたの、たったの『3人だけ』だったぞ。他の99,997人はどこへ消えたんだ!何で誰も買わないのか理由を調べろ!」 「えっ、理由ですか?うーん、みんな画面を見て満足して、お腹いっぱいになって帰っちゃったんじゃないですかね……」
Webサイトに人が来ても、全員が商品を買ってくれる(コンバージョンする)わけではありません。ページを進むごとに、お客さんはどんどん脱落(離脱)して減っていきます。
この「訪問者が、購入というゴールに向かって段々と少なくなっていく様子」を逆三角形の漏斗(じょうご)の図にしたものを「コンバージョンファネル」と呼びます。マーケターの基本図解を解説します。
コンバージョンファネルとは? 一言でいうと
一言でいうと、コンバージョンファネル(Conversion Funnel)は「ユーザーが商品を知ってから(認知)、興味を持ち(関心)、検討し、最終的に商品の購入や登録(コンバージョン:CV)に至るまでの『顧客の減少プロセス』を、ファネル(漏斗)のような逆三角形で図解したフレームワーク」のことです。
これを、「穴の空いた漏斗(じょうご)への水入れ」に例えてみましょう。
あなたは上から大量の水(Webサイトへのアクセス・100人)をドバドバと注ぎますが、最終的に一番下の出口から出てくる水(商品の購入者)はたったの「1人」です。
なぜか?それは漏斗の途中に「魔の抜け穴(お客さんがイライラして帰ってしまう場所)」がたくさん空いているからです。
- (第一層:トップページ)100人 → 「うわ、デザインがダサくて怪しいな」と50人が即Uターンして帰る【穴で水が漏れる】
- (第二層:商品詳細)残った50人 → 「欲しいけど、他の店の方が安いかも……」と他社と比較して40人が帰る【穴で水が漏れる】
- (第三層:カート画面)残った10人 → 「住所入力フォームが長すぎてめんどくさい!」と9人が怒って帰る【最大の穴で大漏れ!】
- (最下層:購入完了):残った1人だけ(コンバージョン)!
コンバージョンファネルを書く(分析する)目的は、「上から大量に水(広告費)を注ぎ足す」ことではなく、「おお!第三層の『入力フォーム』の穴がデカすぎて、ここで90%の客が逃げている(水漏れしている)ぞ!今すぐここを塞げ(フォームを簡単にしろ)!」と、一番もったいない弱点を見つけ出して修理することなのです。
ビジネスの現場での使い方
実際の現場で「ファネル(漏斗)」がどう使われているのか、よくある3つの場面を見てみましょう。
「ファネルの『底(購入直前)』の穴を塞ぐのが一番コスパがいいぞ」
- 裏にある意味・意図:
- 「上の層(認知)を広げようとして、高いテレビCM(大量の水)を打っても、下の層(カート画面)に穴が空きっぱなしなら、結局全部こぼれて落ちて誰も買わない。マーケティングの鉄則は『まずは一番下の購入直前(ファネルの底:入力フォームの簡略化など)の穴を塞いで、確実に受け皿を作る』ことだ。入り口を広げる(集客する)のはその後だよ!」
- 集客の前に「接客の改善(CRO・LPO)」を優先せよという、絶対に間違えてはいけない順番の指示。
「ファネルごとに、打つべき広告(コミュニケーション)の手段を変えろ」
- 裏にある意味・意図:
- 「お客さんは今、ファネルのどの層(気分)にいる?まだウチを知らない一番上の層(認知)なら、派手な動画広告(YouTube)で注目を引く。でも、ファネルの真ん中『他の商品と比べて迷っている(検討層)』の人には、派手な動画より『他社との違いを徹底比較した詳しいブログ記事』を読ませないといけない。相手の現在地に合わせて出すエサを変えるんだ」
- 顧客の「気分の深さ」に合わせてマーケティング手法を使い分けるカスタマージャーニー的思考。
「今の時代は、ファネルの形が逆三角形ではなく『砂時計』型になっている」
- 裏にある意味・意図:
- 「昔のマーケティングは、お客さんが『買ったら(ファネルの一番下の細い所)』でおしまいだった。でも今は違う。買った後のお客さんがSNSで『これマジで最高!』とレビューを書いてバズらせてくれる(共有・拡散)ことで、そこからまた下に向かって新しい客(ファン)がブワーッと一気に広がっていく。だから今は『砂時計(ダブルファネル)』のように、買った後の下半分も大事にするべきだぞ」
- 売って終わりの時代から、クチコミやリピーター(LTV)を重視する現代のマーケティングへの進化。
代表的な「ファネル(AIDMA)」の形
ファネルの層(お客さんの気持ちの変化)を表す際に、世界で一番有名な「AIDMA(アイドマ)」という超基本の型(頭文字)があります。
| ファネルの層(上から下へ) | AIDMA(昔からある定番の型) | 現代のネット版:AISAS(アイサス) |
|---|---|---|
| 一番上の広い層 | Attention(注意・知る) | Attention(注意・知る) |
| 二番目の層 | Interest(興味を持つ) | Interest(興味を持つ) |
| 真ん中の迷う層 | Desire(欲しくなる) Memory(記憶する) | Search(ネットで検索・比較する)★ |
| 購入の最下層 | Action(実際に買う!) | Action(実際に買う!) |
| (砂時計の広がり) | (なし。売っておしまい) | Share(SNSで共有・バズる)★ |
見分け方としては、「『AIDMA』はテレビCMを見て、頭に記憶して、後日デパートで買うという 옛날(昔)の逆三角形。『AISAS』はスマホで検索(Search)して、買ったらインスタで共有(Share)してさらに広がる、現代の砂時計型」と覚えましょう。
まとめ
- コンバージョンファネルとは、顧客が商品を知ってから購入に至るまでに、人数が徐々に減りながら絞り込まれていくプロセスを、逆三角形の漏斗(ファネル)に見立てて図解した強力な分析ツールのこと。
- 「1万人のアクセスに対して、購入者が10人しかいない」と嘆くのではなく、ファネルを書いて「詳細ページで5,000人脱落した」「カート画面で4,000人が脱落した」と段階分けすることで、サイトの欠陥(水漏れしている穴)をピンポイントで発見できる。
- マーケティングの鉄則は、上の入り口に高い広告費をかけて大量の水を注ぐことではなく、まずは一番下の細い部分(購入直前のフォーム入力など)の「水漏れ」をしっかり底上げして修理することである。
今日できるミニアクション: 裏紙とペンを用意して、あなたが会社の「商談」でお客さんから契約を取るまでの簡単な「自分の営業ファネル」を逆三角形で書いてみてください。(例:①電話を100件かける → ②アポが取れるのが10件 → ③提案書を出せるのが3件 → ④契約(CV)が1件)。もしあなたが「もっと契約(1件)を増やしたい!」と思った時、①の「電話を200件に倍増(気合)」させるのは大変ですよね。しかしファネルを見れば、「③の見積もり提案書を、もっとわかりやすいものに改善すれば、契約が3件に増えるのでは?」と、少ない労力で一番結果が出る「穴(ボトルネック)」に気づくことができるのです。これがファネル分析の最大の魔法です。