「もう最悪!スマホのメールボックスを開いたら、『1億円当選しました!』とか『あなたのパスワードが流出しています!』みたいな変な迷惑メールが1日に100件も来てる!」 「うわぁ、完全に業者から【スパムメール】のターゲットにされてるね。すぐにブロック設定した方がいいよ」 「うん……あ!そうこうしてるうちにも、またLINEのオープンチャットに『副業で稼ぎませんか?』っていうスパムメッセージが大量に書き込まれた!」
インターネットをやっている人なら誰もが一度は憎んだことがある、無差別に大量送信される迷惑メッセージ。
この、ネットの公害とも言える迷惑行為がなぜ「スパム(SPAM)」と呼ばれるようになったのか?実は、スーパーで売っている「あの四角いお肉の缶詰」と、イギリスの伝説的なコメディ番組が関係しているという意外な歴史を解説します。
スパムとは? 一言でいうと
一言でいうと、スパム(Spam)は「ITの世界において、主に自分の商品の宣伝や、詐欺サイトへの誘導(フィッシング詐欺)などを目的として、手当たり次第に大量のメッセージ(ゴミ)をバラまき、サーバーやユーザーの画面を埋め尽くす迷惑行為」のことです。
これを、まさに語源となった「イギリスのコメディ番組(モンティ・パイソン)の有名なレストランのコント」に例えてみましょう。
ある日、静かなレストランに夫婦がやってきて、ウェイトレスに「メニューには何がありますか?」と聞きました。 ウェイトレスは「卵とスパム(肉の缶詰)、ベーコンとスパム、ソーセージとスパムとスパム……そして、スパムとスパムとスパムとスパムとスパムです!」と、スパムが入ったメニューしか言いません。 そこに突然、隣の席に座っていたバイキング(荒くれ者の海賊)の集団が立ち上がり、「スパム!スパム!スパム!素晴らしいスパム!!」と、スパムを讃える歌を大声で歌い始めます。 あまりの大合唱に、夫婦の「普通の料理が食べたい」という声も、ウェイトレスの声も【完全にスパムという大音量にかき消されて、全く会話が成立しなくなってしまった(迷惑でパニック)】というシュールなコントです。
初期のインターネット(掲示板)時代に、一部の迷惑なユーザーが嫌がらせで「SPAM SPAM SPAM…」とこのコントのセリフを大量に書き込んで画面の会話を埋め尽くして破壊したことから、「相手の都合を無視して、大量の無意味なメッセージで埋め尽くす迷惑行為=スパム」として世界中のIT業界で定着したのです。
ビジネスの現場での使い方
実際の現場で「スパム」がどう使われているのか、よくある3つの場面を見てみましょう。
「メルマガを配信する時は、法律を守らないと『スパム業者』として一生Gmailに弾かれるぞ」
- 裏にある意味・意図:
- 「企業がお客さんに宣伝メール(メルマガ)を送る時、事前に『メールを送ってもいいですか(オプトイン)』という許可を取らずに勝手に大量に送りつける行為は、日本の法律(特定電子メール法)違反だ!それをやると、GoogleなどのAIから『この企業はヤバいスパム業者だ』とブラックリストに登録され、今後ウチの会社からのメールが、お客さんの迷惑メールフォルダに直行して一生誰にも読まれなくなる(スパム判定される)ぞ!」
- 正当なマーケティングと、迷惑なスパムの違いを理解し、メールの到達率(レピュテーション)を守るための警告。
「HPのお問い合わせフォームに『スパムボット対策』の画像認証を入れろ」
- 裏にある意味・意図:
- 「会社のホームページのお問い合わせフォームをそのまま開けっ放しにしておくと、海外の悪い業者が作った自動プログラム(ボット)が、『このサプリを買え!』という英語のスパムメッセージを1日に1万件も投稿してくる。本当に大切なお客様からの問い合わせがスパムの山に埋もれて探せなくなるから、送信ボタンの前に『私はロボットではありません』というチェック(reCAPTCHA)を導入してスパムを弾き返せ!」
- 放置すると業務に支障が出るレベルのアタックを防ぐための、必須のセキュリティ対策。
「検索結果の上位が、中身のないスパムサイトばかりでウンザリするな」
- 裏にある意味・意図:
- 「Googleで調べ物をしても、『いかがでしたか?』で終わる中身のないコピペ記事や、キーワードだけを羅列して無理やり検索上位に入り込んできた詐欺サイト(検索スパム)ばかりが表示される。本当に欲しい情報がゴミの中に埋もれてしまっている状態だ」
- メールだけでなく、検索結果やSNSのタイムラインを破壊する悪質行為全般(検索汚染)をスパムと呼ぶ。
「ウイルスのメール」との違い
「迷惑なメール」と一口に言っても、相手の「目的」によって2種類に分けられます。
| 比較ポイント | スパムメール(Spam) | ウイルス付きメール(マルウェア) |
|---|---|---|
| 主な目的(嫌がらせの理由) | 「とにかく広告を見せて金儲けしたい!」または「偽のサイトに誘導したい!」 | 「お前のパソコンを破壊したい!」または「データを盗み出したい!」 |
| 送られてくる中身 | 出会い系サイト、謎の薬、偽のAmazonからの「URLのリンク(文字)」ばかり。 | 怪しい請求書のPDFや、Excelファイルなどの「添付ファイル」が多い。 |
| 対処法 | リンクを押さない限り基本は無害。無視して「迷惑メール」フォルダにぶち込む。 | 添付ファイルを開いた瞬間にパソコンが死ぬ。絶対にファイルをクリックせずに即削除する。 |
見分け方としては、「『この1万円のサプリを買え!』と大音量でチラシをポストに大量にねじ込んでくるのがスパム。『この手紙(ファイル)を開け!』と爆弾を送りつけてくるのがウイルスメール」と覚えましょう。(もちろんスパムメールの中にウイルスが仕込まれる複合技もあります)。
まとめ
- スパム(用語)とは、インターネット上において、受信者の許可を得ずに無差別かつ大量にバラまかれる「迷惑メール」や、掲示板・SNSへの「迷惑な広告書き込み」のこと。
- その語源は、イギリスのコメディ番組で「スパム(肉の缶詰)」という単語を大声で連呼し続け、周囲の正常な会話をすべてかき消してしまうというコントから来ている。
- 現在では、AIを悪用したスパムボットが1秒間に何万件ものメッセージを生成してばら撒けるため、X(旧Twitter)の「インプレゾンビ」のように、プラットフォームの機能そのものをマヒさせる深刻な社会問題・犯罪行為となっている。
今日できるミニアクション: あなたのスマホに本物そっくりの「Amazon・楽天・クレジットカード会社」から、「アカウントが停止されています!今すぐここをクリックしてパスワードを再設定してください!」というメール(スパム・詐欺メール)が来たとします。どんなに焦っても、絶対にそのメールの青いリンク(URL)を押してはいけません。不安な場合は、そのメールは一旦無視して、普段あなたが使っている「Googleの検索窓」から「Amazon」と手打ちで検索して、本物の公式サイトからログインして確認してください。スパム業者の最大の弱点は、「リンクを踏ませる(釣る)こと以外は何もできない」ことなのです。